Why not? 「わかった!もういい!おやすみ!!」 そう言って、電話を切ってから一体何時間たったんだろう。 いつまでたっても怒りが収まらない、深夜1時。 ムカつく。 私がこうやってモンモンとしてる間も、あいつはきっと大いびきかいて寝てるんだ。 そう思ったら、なんだか本当に腹がたってきて、今日一緒に食べるために 買ってきたケーキを、一人でむしゃむしゃと食べてしまった。 夜中のケーキって太るよなぁなんて、頭の片隅でちらりと思ったけれど、もういい。 どうせまた会う約束したって、仕事だなんだとキャンセルされるんだから。 今日、来るはずだったのに。 そう思って、あいつの好きなケーキまで買ってきてたっていうのに。 それなのに「疲れた」だぁ?ふざけんなっ。 自分ひとりのために淹れたコーヒーを飲みながら、TVのチャンネルをばしばし変えた。 ・・・何も面白い番組やってないやあ。 ぼすん、とベッドの上に横になる。 生クリームが胃の中でぐるぐる回る。 ベッドカバーの小さな花柄を見る。 モスグリーンのベッドカバーは、去年あいつが誕生日プレゼントにくれたものだ。 指輪、とかブランドのおしゃれな小物じゃないってところが、実用主義的なあいつらしくて 笑ってしまう。 でも、一緒に買い物に行ったときに「ああ、これかわいいなあ」って呟いた一言を ちゃんと覚えていてくれたのかって、本当に嬉しかった。 あー、もうダメ。 せっかく買ってくれたカバーに、染みがついてしまう。 こぼれそうになった涙を、慌てて手でこすった。 ・・・寝よう。寝るのが一番。 ベッドの上をもぞもぞと動き、布団の中にもぐりこむ。 暖房を入れてはいたけれど、やっぱり布団の中は暖かい。 TVを消すと、部屋の中は真っ暗になった。 しいん、として耳鳴りがするくらい。 □ いつのまにか、眠っていたんだろう。 それなのに、体が反応してしまう。誰かに見られてる、気がした。じいっと。 一体今何時くらいなんだろう? 時計が見たい。でも怖くて目があけられない。 女性の一人暮らしって、こういうときすごい不便。不便っていうか怖い。 ちゃんとカギ閉めたよね? ・・・大丈夫、怖くない。 そろり、と目を開けた。 「おう、起きたかねぼすけ」 「・・・・脅かさないでよ。今一体何時だと思ってるの?」 暗闇の中で、数時間前電話でケンカした男がベッドの横に座り込み、こっちを覗き込んでいる。 私が完全に目が覚めたのがわかったのか、嬉しそうに笑った。 「だって絶対オマエ寝てると思って。すげー腹たったから、驚かせてやろうと思って」 また、子供みたいに笑う。 ええ、驚きましたとも。 同じこと思ってたって、わかって。 「クルマ飛ばしてきたの?」 「そう」 「ケーキ食べちゃったからね」 「うそ!?」 「ホント」 えー!?マジかよっ。俺、食べるの楽しみにしてたのに! ・・・なんて一人でわめいてるけど、知らない。 来るのが遅すぎるの。 待ってたんだから。 「・・・・とりあえずさ、寒いから、中入りなよ。風邪引くよ?」 布団のすそを持ち上げる。 「いいねえ」と、嬉しそうに笑う彼がかわいいから、全部許してあげよう。 明日また、同じケーキを買ってきてあげる。 |
「Why not」昨日、ベラベラステーションでやってた英語(^^; 「いいねえ」って意味だそうです。 あー、何か使えないかなあと思って。 最後にクエスチョンマークが要ったかどうか覚えてません。 誰か教えてください(す、すみません・・・) ・・・か、確認いたしました。 クエスチョンマーク、要るそうです。 「断る理由がどこにあるの!?」みたいな意味でWhy not? >>Novels top |