ようこそいらっしゃいました(照)。
ここに載っけてる小説もどきは、ホミゾが高校時代、片足突っ込んでた文芸部冊子『月下美人』に
『長月』(同タイトルですね/汗)として前後編で掲載させて頂いたものに(相当)加筆、訂正したものです。

『長月』 ・ プロローグ



鳥の声で目が覚めた。
朝だ。
9月の。
・・・・・まだ9月の朝なのか。

頭が割れるように痛かった。
起き上がろうとしたが脳の中心に、ずん、とした存在感を感じて僕は再びベッドに倒れこんだ。

昨日、酒飲んで寝たからなあ。
そんなことを思いながら、僕はのろのろとベッドから抜け出す。
頭と比例するように、体も、まるで深海にでも閉じ込められたかのように、重かった。
それを振り切るように、ベッドの横に脱ぎ捨てられたTシャツを手にとり、乱暴に腕を通す。

カーテンを開けると、眩しい朝陽が、僕の目に飛び込んできた。
僕の住んでいるアパートは、全戸東向きで、朝陽が真っ直ぐ入ってくる。
この部屋を借りるとき、不動産屋は
「さわやかな朝陽とともに、一日を迎えられますよ」
なんて言って、この部屋を勧めたけれど、ちくしょう、ちっともさわやかに迎えられないじゃないか。
それが単なるやつあたりだと知っていても、僕は心の中で、そううめくしかなかった。

朝陽を見ても、ちっとも気分はすぐれなかった。
それどころか、その眩しさに、ますます脳の中心の痛みは存在感を増していくようだった。
早く、9月が過ぎ去ってくれればいいと思った。
それが、例え「逃げ」にしか過ぎなくても。
早く早く、過ぎ去ってくれればいい、切にそう、願っていた。
>>Next
>>Novels top