暴れん坊JOJO

10. セックス(NC-17)


 
仗助を担いだまま家に戻ると、そのままバスルームへ直行した。
靴!靴!と肩の上であわてて連呼する仗助の足から、歩きながら靴を落とす。途中リビングあたりに、点々と落ちていく。
コートから順々に行きたいところだったが、肩に担いでいるために、まずはベルトを引き抜いた。
仗助好みの、ハードな留め具が床に当たって鈍い音を立てる。
その音は改めて仗助をあわてさせたらしい。
暴れだした仗助のジーンズのウエスト口から下着までを掴むと一気にずり下ろした。
仗助は腰ばきを好むのであっさりとジーンズも床に置き去られる。
ベルトを外せばジーンズのボタンをいちいちあける必要がないのは便利なもんだ。俺にとっては。
やっと仗助を肩から下ろし、剥ぎ取ったジーンズを廊下に置き去りにしたまま、バスルームのドアを閉めた。

かくして仗助は当人の意思とは無関係に、コートまで着込みながら下半身は靴下のみ、という卑猥な格好で洗面台にもたれるように床にヘタっている。
自分の姿態に顔を一気に赤くしながら、あわてて起き上がり、コートの前をあわせようとする仗助の脚の間に膝を落とし、閉じさせないようにした。 

「ち、ちょちょちょちょ……待ってくださいって、やめーッ、じょ…モゴモゴ」
「うるせーな、徐倫に聞かれたくねーんだろうが。すこし押さえろ」 

徐倫の使っているゲストルームは3階で、音が漏れるような安普請ではないが、あわてている仗助は気づいていない。一瞬抵抗がゆるんだ。

 「!ーー(つーっか、したくねーって言ってるんだって!)」
「ああ?何だ、人のことを煽るだけ煽って、またおあずけとかいうんじゃぁねぇよなぁ?」
「フガーーーっ(承太郎さん!顔コエーって!!ヒーッ)」
「てめぇが散々、焦らしてるんだろうが。自業自得、というヤツだろう?」 

仗助の口を手で覆いながら、フーッ、と深いため息をついた。手がかかるヤツだ。 

「させてんのはお前だぜ、仗助」
「むがーーーっ(エロオヤジーーー!!)」
「てめぇ、さっき流されかけたろうが」
「むむっ」
「ああ?」 

ごろごろと唸りながら、暴れるのをやめて上目で様子を伺う仗助に、もういちどため息をついて手を放した。
叱られて様子を伺う犬ころのようだな。まぁ、似たりよったりか。 

「否定はしねぇんだな」
「……しねぇっすけど、これってあんまりなカッコじゃね?って、承太郎さん笑ってねぇで!ヒデェ!」
「ああ、ワリィ……な。たしかにヒデェ格好だな。で」
「で?」
「脱ぐのか? 着るのか?」
「……脱ぐとしたら」
「手伝ってやる」
「準備してねぇし……って」

俺は十分つきあったぜ。
ぱっちりと見開かれた目を視界の隅で笑いながら、そのゴネる口にキスを落とす。
ひらかれた目、黒く縁取られたまつ毛、その中の青が色をかえてゆく。明るい光を満たした青が、とろりと影を落として濃く満ちる。潜って、緩やかに、落下するその様が。

 「……仲直りっスね」

 何かやり合っていたか?と思いながら、久しぶりの感触に耽った。




 すっかり冷え切った仗助を浴槽に放り込む。出掛けにセットしたときと利用法は変わらないが、目的は単なる仗助を暖めるだけではなくなっている。 

「ひゃー、ジンジンする!」

 冷え切った指先が暖められてしびれるような感覚に襲われている仗助が、自分の手足をすりよせて丸くなっている。
やれやれ、どっかガキっぽさが抜けねぇな。
風呂場は手を入れた中でも、贅沢をした場所だ。徐倫が使っている、ゲストルームに備えられているユニットバスなら、浴室だけで3つは入る。
仗助もそうだが、日本の規格ではどうにも窮屈なナリをしているせいで、浴槽も規格外だ。
まぁ、眺めのいい広い風呂ってのは、日本人の男ならたいがい憧れるだろう。サンルーフ状の窓からは、海沿いの光景がパノラマで見える。夜も更けた今は真っ黒な海と、星の見える空に覆われている。 

「ぎゃっ、承太郎さんちょっと待って!」 

この期に及んでの抵抗は、俺が触れると手足の痺れが刺激されるからだ。
当然ながら。

 「あ!ちょっ、ヒデっ」

 容赦なくその手をひっぱりあげる。自分も浴槽に入るとふちに腰かけ、その膝に乗り上げさせるように引き上げた。
しびれる手足に情けない表情で、うらめしげに見つめる仗助に口の端だけで笑うと、諦めたように力をぬいて寄りかかってきた。
体の間にはさまる仗助のペニスを撫でると、すでにいくらか固さをもって、掌にぴくりと反応をかえす。
もう片方の手で、持ち込んだオイルのキャップをパチンと跳ね上げる。その音に肩をゆらして伏せていた顔を上げた仗助は、上気した目元を、俺の首に腕を回したままの手でこすった。
照れているときによくするのは、視線をあわせづらいのだろう。
案の定小さな声でお伺いをたててくる。

 「……やっぱ、いれなくっちゃダメっスか? 舐めます……けど」
「風呂場なんだ、汚したら洗えばいいだろうが」
「う〜〜」 

ますます赤くなる仗助の耳を舐め上げる。
自分の脚を開いて、その俺の脚をまたぐように対面で座らせていた仗助を促すと、首にしがみついたまま、もじもじと腰を浮かして脚を開いた。
あふれるほどに取ったオイルを尾てい骨あたりから、撫でるように塗り付ける。その割れ目をなぞり、行き来させるたびに、仗助の肌に走る緊張を楽しむ。
もう片方ではペニスの先端だけを撫で、耳たぶを甘噛みすると、焦れるように腰を揺らした。
その様子に喉の奥で笑う。
くちゅくちゅと音を鳴らして、小さなすぼみに指を突き立てた。

もともとヘテロな嗜好だった俺にとっては、どうしてもセックス=挿入となるが、ゲイ同志ではかならずしもそればかりではないらしい、というのは、まぁ聞いたことがある。あるが、どうしてもつなげたいという欲望に直結してしまう。当然される仗助の方では、不自然な負担がプラスされる訳だ。不公平なことは間違いないだろう。仗助に「させた」ことは無いしな。
女との性体験もない仗助に、俺のわがままを受け入れさせたのは、いくらか可哀想なことをしたな、と思わないでもないが。同時に思うままに、己のオスで慣らしていく快感は拭い去れなかった。
ひとまわりも年下の同じオス相手に、自分の十代の頃でさえなかったほどにのめりこむ自分を嗤いながら。
それでもゆっくりと時間をかけて、ぴったりと俺に沿うように、仗助といびつながらこの上ない関係を3年かけて作ってきた。
暴きながら、すべてを差し出させながら、いまだにこうして奪いきれないこの若い男に、奪われる。 

「俺もずいぶんと溺れているな」
「あぅ、……ん、ウソばっか」
「嘘か」
「……俺ばっかり、……っしょっ」 

奥を慣らす指はそのままで、仗助の顔をのぞきこむ。とろん、と潤んだ目がまばたいた。
半開きの口で息をつく、そのぽってりとした下唇を逆の親指でめくるように撫でる。そのまま指で歯列をこすりながら差し入れると、痛みを感じるほどに噛まれる。
濡れていながら、強い光をはらんだ眼差しが見上げてきた。たまらねぇな。
かまわずに力をかけて押し込むと、こんどは舌をからめて吸い上げた。伏せられたまぶたに濃いまつ毛、かすかにへこむ頬に、自分のものをくわえ込ませた感触を思い起こして、自分のものがより固く振り上げられていくのが分かる。 

「どうかな」

 自分のガラでもないほどに、仗助を大事にしている、と思う。
思いながら、かつてないほど凶暴な一瞬を味合わされる。破壊にも似た衝動。
己のオスを、新たに足したオイルでしごき上げるように濡らして、その手で仗助の尻たぶをつかみ開く。
指の引き抜かれた、ひくつきながら元に戻ろうとする場所に、ガチガチにいきり立ったオスをねじり込んだ。 

「ああ!うぅ、ん、……い、っ」 

一気に陰嚢が仗助の尻を叩くまでに突き上げる。痙攣するように体をびくつかせる仗助をがっちりと抱き込んだ。そのままガツガツと反動をかけて、ペニスの先端を奥へ当てる。
あられもない嗚咽に似た悲鳴が仗助の喉を鳴らすのを、快感にまみれて聞いた。
根元を縛るようなキツイ締め付けと、すぐ先に開いた空間のような内部が、一気に絞るように締め付け絡みつく。捻じり上げられるように、ぎゅっぎゅっとうごめく内部。
後頭部を焼ききるような、快感に襲われる。

 「つか…まってろよ」 

仗助の膝の裏に両腕を通すと、支えを失った仗助が、反射的にぎゅっとしがみついた。

 「うぅっ………!!」 

繋がったまま体を抱え上げ、壁に仗助の背中を押し付けて、押し込んでいたオスをぎりぎりまでズリ抜く。
そしてまた最奥に叩きつけた。
バチバチと肌を打つ音が浴室に響く。どちらの元とも区別のつかない、荒い息までが、快感に変わる。 

「まって、…じょ、承太…郎さ」
「無理だろう」 

俺との行為に慣らされた仗助の前が、だらだらと濁ったものを垂らして、すりつける俺の腹を汚す。
仗助の懇願を無視した動きに、すぐに引きつるような高い呻きと、硬直。痙攣のたびにぬめるものが俺と仗助自身の胸をぬらした。
キツイ締め上げをやりすごし、痙攣する仗助の体が落ち着くのを待たずに、突き上げる。
ひきつるように、短く、息を継ぐだけで精一杯の体を荒らす。
限界まで引き伸ばし、最後にはその最も奥へと、あけすけで偽りようの無い欲望をのこらずぶちまけた。   

 

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